PROFILE
外資系商社を経て宝飾関係の広報機関にてPRを担当。
その後イタリア・フィレンツェに遊学。
帰国後、ジュエリー・ディレクターとして雑誌記事のコーディネートやファッション・スタイリング、広告制作、セミナーなどジュエリーを中心とした多角的な活動を行っている。
著書に光野桃氏との共著『成熟へのジュエリー』(97年講談社)。
2000年1月、メディアを通してイタリアン・ジュエリーの普及に貢献したとして、ヴィツェンツァ国際見本市協会とイタリア貿易振興会から表彰される。
その後イタリア・フィレンツェに遊学。
帰国後、ジュエリー・ディレクターとして雑誌記事のコーディネートやファッション・スタイリング、広告制作、セミナーなどジュエリーを中心とした多角的な活動を行っている。
著書に光野桃氏との共著『成熟へのジュエリー』(97年講談社)。
2000年1月、メディアを通してイタリアン・ジュエリーの普及に貢献したとして、ヴィツェンツァ国際見本市協会とイタリア貿易振興会から表彰される。
直感を信じて進んできたらスタイリストになっていました
Dr.衣理
スタイリストになる前はジュエリーのPRをされていたとお聞きしていますが、若いころから、宝飾品に親しんでいらっしゃったんですか?
伊藤さん
ジュエリーは興味がありましたが、当時はどちらかというとファッションのほうが好きでした。
大学を卒業後、グラフィックデザイン事務所やフランス系の商社で働いていたのですが、その後、たまたま友人がプラチナ関係のPRの仕事を手伝ってくれないかと。
大学を卒業後、グラフィックデザイン事務所やフランス系の商社で働いていたのですが、その後、たまたま友人がプラチナ関係のPRの仕事を手伝ってくれないかと。
Dr.衣理
そこで本格的にジュエリーと
出会われたわけですね。
出会われたわけですね。
伊藤さん
はい。プラチナの広報機関で、プラチナ・ジュエリーの魅力を広く知っていただくためのPRをしていました。国内外のメーカーさんとコンタクトをとったり、雑誌の編集の方にプロモートしたり。ハイジュエリーを扱う機会も多く、スイスのバーゼルの展示会へ行かせてもらったりして、勉強させていただきました。
Dr.衣理
その後、スタイリストさんへ転身されるわけですが、一体、何がきっかけだったんですか?
伊藤さん
仕事を通じてプラチナ・ジュエリーを知るにつれ、もっといろいろな角度からジュエリーに触れてみたくなって。それにはジュエリーを日常的に楽しんでいる人が多い国へ行くほうがいいかな、と思い切って仕事をやめ、イタリアへ遊学したんですよ。いろいろ人に聞いたら、女性が一人で行くならフィレンツェがいいだろうと。イタリア語の学校にも行きましたし、ジュエリースクールみたいなところへも行きましたが、日本でも親交のあった編集者で、現在は作家として活躍されている光野桃さんと再会して。ここにいるんだったら、ちょっと仕事を手伝ってくれない? と誘ってくださったんです。
Dr.衣理
すごい流れですね~。
外国でいきなり仕事をするって大変ではなかったですか?
外国でいきなり仕事をするって大変ではなかったですか?
伊藤さん
すぐさま本職のスタイリストというわけではなかったんですが、連載をお手伝いするチャンスをいただいて。
Dr.衣理
なるほど、それで?
伊藤さん
「成熟の宝石」というタイトルで、生活の中でジュエリーの景色のようなものを紹介する連載でした。読者が知りたいのは現地の女性がどんなふうにジュエリーを取り入れているか、でしたから。そのうち仲のよいお店に頼んで洋服も借りてきたり。当時はいろいろと工夫してコーディネートをしていました。
Dr.衣理
日本へ帰るきっかけは何だったんですか?
伊藤さん
結局、イタリアには2年ぐらいいたんですが、向こうで生活するうちに自分が次にやりたいことが見えてきて、そろそろ帰ろうかと。35歳のときでした。
できるだけ新鮮な空気を入れて自分もリセットしてます
Dr.衣理
35歳から日本で! どなたか師匠につかれたわけでもなく?
伊藤さん
そう、年は取っているのに新人なんですよ(笑) 私の場合は、のんびりとアシスタントから始めて独立するという時間もなかったわけです。でも日本での社会人経験がありましたからね。PR時代に培った人脈もありましたし。実は以前から半年に1回くらい、帰国したときにヴァンテーヌなどのお仕事をちょこちょこいただいていていたので、編集部の方に段取りなど教えていただいていて。帰国してすぐのタイミングで、ヴァンサンカンの別冊ジュエリーブックが創刊されたり・・・。
Dr.衣理
ラッキーですね。ホント、いいタイミングというか。
伊藤さん
そうなんですよ。当時、お仕事でヘア&メイクアーティストの藤原美智子さんと親しくさせていただいていたんですが、帰国したらジュエリーを軸に仕事の幅を広げるといいと強く言ってくださって。そこでスタイリストとしてやっていこうと思いました。
Dr.衣理
お聞きしていると、わりと直感で動かれるタイプですよね。いいタイミングでご自身の転機みたいなものを感じとっていらっしゃる。目標を置いてコツコツと階段を上っていく方もいるけれど・・・
伊藤さん
いや、まったくそっちではないですね(笑) あれこれ考えるよりも直感で動くほうだと思います。
Dr.衣理
感性の方なんですよね、きっと。あと、持てるチカラをきちんと発揮できるというか。チャンスを確実にモノにしていらっしゃる。雑誌のジャンルも幅広いですよね?
伊藤さん
はい、先日はゴルフ雑誌の表紙もやらせていただきましたね。ゴルフはさすがにわからないんだけど、でもそれでもいいからって言ってくださって。
Dr.衣理
(雑誌名を聞いて)それ、知ってます。私も一度、出させていただいたことがあって。じつは、学生時代、ゴルフ部だったんですよ(笑)
伊藤さん
そうなんですか、すごいですね。
Dr.衣理
いやいや、あまり上手ではないんですけどね。それより、どうやってお仕事の幅を広げられたんですか?
伊藤さん
一言で言うと、ご縁でしょうか。この仕事って、人とのご縁があればこそだと思うので、出会いは大切にしています。基本的に声をかけていただいたお仕事はお断りせず、参加させていただいています。新しい出会いのチャンスですからね。スタイリストの仕事って、スタイリングだけじゃない要素がじつはたくさんある。雑誌のテイストや編集者のスタンスに個別に応えていかないと、と思います。
Dr.衣理
雑誌の表紙のお仕事では女優さんのスタイリングもされていますが、どんな点に気をつけてコーディネートされているんですか?
伊藤さん
基本的に服やジュエリーを集めるときは、その方に似合うもの、ご本人が着たい、と思うものを考えています。女優さんに限らず、モデルさんでも、これ好き! と思える服があったほうがいいと思うんですよ。私たち一般の女性もそうですが、似合っていると思うと自信がでるけど、似合ってないと服に着られているという感じがしますしね。まずは彼女たちの気持ちがアガルものを持っていきますね。たとえそれを最終的に着せられなくても、ラックの中には必ず入れるようにしています。
Dr.衣理
お仕事で、女優さんの服の好みとかはどうやって知るのですか?
伊藤さん
初対面ではさすがにわからないので、もちろん事前にリサーチもします。話しているとご本人の好みとか見えるときがあって。これいい、とか、かわいい~とか。口に出して言えるタイプの人はいいけど、言えない人の場合、表情とかから察してあげないといけないので、結局はコミュニケーションが大切ですね。お医者様もそういうことってありませんか?
Dr.衣理
そうですね、私の場合も初めての患者さんは、診察のときしか状態がわかりませんからね。治療法で患者さんと医者の両方の意見が合致することもあれば、中にはご自身の不調を全部伝えられない方もいるので、こっちがいち早く心の内を読んでああかな、こうかなと、先回りして考えたり。少ない情報から察してあげるというか・・・確かに、似ていますね(笑) すごく共感します。
伊藤さん
雑誌の撮影は共同作業で、目的があってその道のプロが集まっているんですが、みんなで試行錯誤を繰り返すうちに方向性が見えてくる瞬間があるんです。ジュエリーや服で、その女優さんやモデルさんの新しい魅力を引き出すことができたときは、やっぱりうれしいですしね。そのためにキャスティングで意見が言えるような状況のときは、なるべく今まで組んだことのない、新しいカメラマンやヘアメイクさんを推薦して、つねにフレッシュな空気を入れたり・・・。
Dr.衣理
化学反応を楽しんでいらっしゃる?(笑)
伊藤さん
なんか人間って、スイッチが入る瞬間ってあると思うんですよ。とくに若いときが多いと思うんですけど、年とっちゃうと、そこを敏感に感じられないというか、
私は基本的に若いスタッフと仕事をするようにしているのですが、なるほど、こういう表現法もあったんだとか、いろいろと発見が多いんですね。若いカメラマンはアイディアソースも違うし、女性感も違うじゃないですか。まあ、たまに自分が今まで集めたことがないようなものを要求されたりもするけど(笑)、そこをクリアすると、これもアリなんだと。
それが次の自分の蓄積にもなるので、好きですね。新しい人と仕事をすることが。
私は基本的に若いスタッフと仕事をするようにしているのですが、なるほど、こういう表現法もあったんだとか、いろいろと発見が多いんですね。若いカメラマンはアイディアソースも違うし、女性感も違うじゃないですか。まあ、たまに自分が今まで集めたことがないようなものを要求されたりもするけど(笑)、そこをクリアすると、これもアリなんだと。
それが次の自分の蓄積にもなるので、好きですね。新しい人と仕事をすることが。
Dr.衣理
立ち止まってはいけないですよね。新しい空気を入れないと、カラダでも細胞でも代謝を期待できないですからね。ところで、お聞きしているとものすごくお忙しそうですが、伊藤さんのストレスの発散法ってありますか?
伊藤さん
まずお酒を飲む、仲のいい友達と会う、アメリカのドラマを観る(笑) 欧米のドラマって、日本のドラマよりカラッとしてウェットじゃないし、女性が強いじゃないですか。微妙に結末が暗くなるものがあってもそれはそれって(笑)
Dr.衣理
睡眠時間はどうですか?
伊藤さん
忙しいときの睡眠時間は少ないですね。でも眠くなったら寝るんですよ、ダラダラと起きて作業ができないタイプで。家に戻って食事をしたら、11時とかに一度寝て、3時とか4時に起きだしてやるタイプです。
朝のほうが効率いいんです(笑) 毎日それが続くとさすがにつらいですが、たまにゆっくり始動のときもありますからね。だから続けられるんだと思います。
Dr.衣理
ご自分のキャパをわかってらっしゃるんですね。直感が強くないとできないことです。
伊藤さん
そうかもしれないですね(笑) とくに若い人と仕事をするときは、お互いの感性のかけ算が大事だと思っています。第六感を働かせるというか。
Dr.衣理
シックスセンスが鋭いタイプですね。論理的に考えていらっしゃることもあると思いますが、その前に脳に意識が直接、行くというか。
伊藤さん
でも、疲れているとダメですね。直感が鈍ると、洋服に呼ばれないというか(笑) だからいつも健全な状態でいないとダメなんです。
Dr.衣理
スタイリストさんって、まったく別のものを組み合わせて、別の美を創り出していかないといけないですからね。きょうはいかに伊藤さんが、“感性”の方なのかということがわかってとても刺激的でした。本当に興味深いお話をありがとうございました。
美の格言
「美しさは自信や喜びから生まれるもの。
まずは自分に似合うものを探して」
by伊藤美佐希
まずは自分に似合うものを探して」
by伊藤美佐希
伊藤さんセレクトお気に入りのジュエリー&フレグランス
1.伊藤さんの守り神?蛇モチーフのバングル
ボリューム感のあるバングルがコーディネートのキーアイテム。かつて占いで蛇に守られていると聞いてからはヘビモチーフのものがお気に入りに。
2.ボリュームリングは主にイタリアで
指輪は、華奢なものも大ぶりのものもどちらも大好き。
バングルのボリュームに合わせて選択する。
手前の2点はアンティークでイタリアにて購入。
バングルのボリュームに合わせて選択する。
手前の2点はアンティークでイタリアにて購入。
3.お気に入りの香りをまとい気分転換
忙しい毎日でも香りのチョイスは忘れない。
お気に入りはこの3品で、さわやかな香りのセルッティはもう何代目か。
ボッテガ・ヴェネタはこっくりと大人っぽい香りに。
シャネルのCoCoは最近の定番。
お気に入りはこの3品で、さわやかな香りのセルッティはもう何代目か。
ボッテガ・ヴェネタはこっくりと大人っぽい香りに。
シャネルのCoCoは最近の定番。
4.色石のパワーを感じるお気入りの組み合わせ
お世話になった方から譲られたブレスレットはアメシスト、トルマリン、ルビーなどの天然石。
エメラルドのリングは、つけているうちに色が変わってきて、石の持つ不思議なパワーを実感。
エメラルドのリングは、つけているうちに色が変わってきて、石の持つ不思議なパワーを実感。
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